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プロジェクト『架空標本博物誌』

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実在する架空。

『架空標本博物誌』は、存在しないはずの標本を多く収録し、不可思議な科学的知見を提供していることで知られる幻の書物である。それらを管理する架空標本管理室の管理人aiwendilが、この書物に収録されている架空標本を紹介するプロジェクト。
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『実在する架空』をテーマにした作品群です。立体・平面・インスタレーションなど分野を固定せずに展開しています。

1 大気鳥(Aeravius Caelus)
大気鳥Aeravius Caelus は植物世代と動物世代、その間の二回の中間世代を繰り返す独特の生活環を持つ大変希少な珍種である。成体は極楽鳥に似た鳥の姿を持つ。体は非常に軽く、風に乗って漂いながら動物世代のほとんどを過ごす。体色は薄く、淡い空色からほとんど透明の、空気のような色彩の羽根で覆われており、その姿を自然環境中で見出すことは容易ではない。生態も謎に包まれ、動物世代の大気鳥が何を採食しどのように繁殖するのかは未解明の部分が多い。動物世代の最後、または途中に卵型の第一相中間体を産み落とす。第一相中間体の中には綿毛を伴う植物種子が格納されており、成熟すると被殻が割れ、その間から綿毛が伸びて風に種子を飛ばす。この第一相中間体は比較的人の目に触れやすく、また、保存性も良く、大気鳥の標本として現存するのはこの第一相中間体のみである。第一相中間体から生じた植物世代の種子は綿毛により風で拡散し、人の目の届かぬ険しい環境下で発芽する。つる状でありながら倒伏せずに自立する強靭な茎と、先端に羽毛状の毛を有する銀緑色の葉を持ち、大きいものだと人の背丈を越える高さまで成長する。茎は分岐せずに伸び、先端に一つの花をつける。五つの萼と七枚の花弁を持つ風変わりな花托からは紡錘状の器官が伸び、それが成長するに従って第二相中間体となる。第二相中間体は四本の籠状の枠脈と幼鳥原基から成り、いずれも植物体と接続したまま成長する。幼鳥原基が大きくなるにつれ枠脈も成長し、一定の大きさに達した時点で幼鳥原基が植物体から離れ、枠脈の横脈に定着する。幼鳥原基は植物体から滴る液滴を摂取しながら数日を過ごし、羽ばたきの練習を繰り返す。機が熟すと枠脈の一本が外れ落ちてその空隙から幼鳥原基が飛び立ち、新たな動物世代個体となる。植物体種子は栽培環境下でも発芽・生育するが、それらの植物体は不稔であり花をつけることがない。また、枯れると塵芥となり植物体としての原型をとどめ置くことができないため、これら植物体の標本は存在しない。

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2 雪氷水晶
水晶に酷似した結晶様の構造物。生物であるとする説と非生物であるとする説があり、詳細はわかっていない。極寒の雪や氷の中から見つかることが多いためその名がついた。寒冷条件にさらされることで非常にゆっくりと成長する性質がある。ごく小さなものから拳大のものが比較的多く発見されている。過去に1mを超える巨大なものが確認されたとの報告があるが、詳細な記録は残されていない。必ず苔の一種とともに見つかることから、何らかの共生関係にあるものと推察されている。自然環境下では気温が摂氏零度を超える条件下で発見された事例はなく、また、同じ場所でも温暖な時期には観察できなくなることから、気温の上昇とともに消失あるいは移動するものと予想されている。消失説では気温の上昇とともに融解し、気温の下降とともに再結晶するとする説が唱えられている。移動説は気温の上昇とともに地中あるいは寒冷な地域に移動するとする説が唱えられている。融解し、地中の低温帯へ移動するとする両仮説の中間的な説も存在する。採取等により発見された場所から移動すると状態が固定され、成長することも高温により消失することもない。分析により、結晶本体は一般的な水晶と同様の酸化珪素から成ることが判明している。珪素骨格に苔の一部が共生し運動性を獲得した半生物であるとの説が有力視されているが、実際に移動が観察された事例はなく、仮説の域を出ない。

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3 書龍
詳細未公開

4 宇宙卵
星が生まれそして死んでゆく宇宙の卵。詳細未公開。→2022年3月、展示にて初公開予定

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5 灯火桔梗
詳細未公開